現実の買い物の欠点をネットの利点によって補う提案と評価
研究概要
ネットショッピング¹と、現実の直接お店へ行って買い物するというのは、従来は別々の買い物方法という風に考えられ、この二つをつなぐものはなかった。
どちらの買い物方法にも、メリット・デメリットがある。そこで、私はこの二つの買い物方法のよい点同士を組み合わせ、つないでいくことによって、より充実した買い物をすることができるサービスを提案する。
このサービスは、ネットと現実の店舗をつなぐものとして、QRコードを使用する。QRコードを使うことによって、ネットでしかできないサービスを提供することができる。
こうするとで、現実の市場とのつながりが生まれ、買い物行動が便利になるのではないか。そして、ウェブのサービス向上も図れる。
¹ 電子商取引。ネット上の情報が間接的に購入に影響した、ネット上での代金決済や購入確定の注文を伴わない自動車、不動産、 金融、各種サービスを消費者向け電子商取引に含めている。(経済産業省2004)しかし、主にネット上で決済または購入確定の注文が行われる物品および旅行などの一部サービスもネットショッピングの範囲と定義した。また、この研究内でのネットショッピングは、服・装飾小物に関しての事柄に限定して考えることとする。
目的
最近のショッピングサイトは、商品のカスタマイズができたり、たくさんの写真を掲載してあったり、以前のものよりかなり充実している。
『NIKEiD』で行われている、スニーカーを自分だけの配色で作れるページは、大きく立体的な画像に、多角度からの写真、しかもオリジナルのスニーカーを作れるというプレミアム感が提供されている。また、千趣会、セシールなどのネット通販サイトでは、他角度からの商品写真、拡大縮小可能な画像、寸法や素材の詳細が明らかになっていることも多く、購入者のコメントが商品の詳細に載っていたり、利用者が使いやすいサイトに発達してきている。
この研究では、このようなネットショッピングの利点を生かしつつ、新しい買い物のあり方を考えた。また、手持ちの洋服との相性を考えるということは、服を買うときに誰もが思うことである。それをサービス化する動きは、今までにはない。よって私は、店舗で実物を見てみて、ネットで検討・また手持ちとのコーディネートを考える、そしてその上でネットで購入できる、というウェブサービスを作ることを目的としたい。
背景
最近では、楽天市場の家電店舗が閉鎖になったというニュースがあった。入金したにもかかわらず、商品が届かない、店舗を営む会社とは連絡が取れない。(毎日新聞2007/6/16)
このようにネットショッピングのトラブルはたえないのだが、利用者の買い物金額、そして全体の売り上げは右肩上がりである。(BNC 2006、野村総合研究所 2005)これは、ネットショッピングの利点が秀でているために、多少のトラブルの可能性があっても行動を起こしてしまうことを意味している。
それでは、実際の店舗での買い物とネットショッピングの利点を整理したい。(表1)
全く正反対の買い物行動であることがわかる。ここから、この二つの買い物行動は別々のものに考えられていた理由が伺えると思う。よって、互いのメリットでデメリットを補い合い、ネットショッピングと実際の買い物に関係を持たせることは、利用者にとって有益なものになると思われる。
表1:ネットショッピングと店舗での買い物の対比
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メリット |
デメリット |
ネットショッピング |
・店に行かなくても買い物できる。 ・決済方法が選べる。 ・あらゆる商品が一度に見られる。 ・時間を問わず自由に買い物できる。 ・家まで届けてくれる。 |
・実際に商品が触れない。(素材感、色合い)。 ・試着できない。 ・トラブルに遭わないか不安(商品がちゃんと届くか) |
店舗での実際の 買い物 |
・商品を触って確かめられる(素材感、色合い) ・試着ができる。 ・店員に商品の情報・トレンドなどを聞ける。 |
・店に行かないと買い物できない。 ・店員に付きまとわれ自由に楽しめない。 |
方法・手続き
『商品情報の入ったQRコードを店頭のタグにつける。買い物に来た客は、いいなと思った商品のQRコードを携帯で読み取り、情報を集める。家に帰った客は、パソコン・携帯で商品の画像を見て、これを買ったら手持ちの服と合うかどうか確認する。手持ちの服の画像を写真で取り込み、画面上で組み合わせを見ることができる機能によって、もし手持ちの服との相性がよければ、その店のサイトで買い物をする。またこのサービスを作る事によって、ネットショッピング環境は向上する。』
これを現実とするため、実際に自社のショッピングサイトを持っている店舗に依頼をして実験を行う。また、その店舗でQRコードを活用した客に、このサービスについて意見を求める。
このQRサービスの未経験者で、ネット・店舗での買い物をよくする人に、このサービスがあったらどうか、意見を求めていく。
期待される成果
このサービスを体験した人に実施する調査では、便利だという評価がでると思われる。